News

2026 / 09 / 19  17:07

MICHI NAKANO 中野道 写真展 「めいめつ」開催のお知らせ

MICHI NAKANO  中野道   写真展 「めいめつ」開催のお知らせ

10.9 Fri - 22 Thu, 2026

13:00‒18:00

 

Closed on Mon & Tue

Closed at 17:00 on the last day

 

写真家、映像作家、音楽家として活動する中野道。

幼少期を過ごした長野・松本の野山、写真との出会い、そして身近な人との別れ。中野は、自身の時間の中に現れては消えていった人や風景を、写真を通して見続けてきました。

 

「写真は、記録であり、記憶でもある」と中野は語ります。

シャッターを切った瞬間、そこにあった時間はすでに過去となり、写真だけが残される。しかし、その一枚を見るたびに、写っていない前後の時間や感情が立ち上がり、記憶は新しく作りかえられていく。

 

本展「めいめつ」では、写真に残されたものと、その周縁にある残せなかったものを辿ります。

かつて共に過ごした人たち、もう戻ることのない時間。見えているものと、見えなくなったもの。
記録と記憶のあいだを行き来しながら、中野自身がこれまでの時間をひとつの区切りとする展覧会です。

 

「僕にとって、今回の『めいめつ』は、自分の青春にさよならするようなものかなって思っています。」

中野道

 

 

「排水溝に落ちた白髪を見つけたとき、それが自分のものだと気づくまで、少し時間がかかった。

少し前まで、そんなものは自分とは関係のないものだと思っていた。

老いることも、誰かがいなくなることも、ずっと遠くで起きていることのようだった。

飼っていた犬は歳をとって、死んでしまった。

祖父の葬式では、久しぶりに会った祖母がずいぶん小さく見えた。

棺の中の祖父も、そこに集まった親戚たちの顔も、なぜか僕には、昔に見た映画をもう一度見ているように思えた。

皺の増えた母の表情だけが妙に現実的だったことは、よく覚えている。

 

歳をとることが、初めて怖いと思った。

今ここにいる自分が、少しずつ別の人間になっていくことを、受け入れられないのかもしれない。

日々が続くのは、報われなかった過去への償いなのだろうか。

 

あの頃の僕らには、天井なんて見えていなかったし、いろんなことが永遠に続くと思っていた。

月日は流れ、かつていた場所や、一緒にいた人、信じていたことや、どうでもよかったはずの景色まで、気がつけばもう戻れないところにある。

だけど僕たちは、成長したわけじゃない。

それらしい顔をして、諦めをつけられるようになっただけだ。

上手にできるようになったことなんて、それ以外にはない気がする。

それでも、僕たちはまた夏を迎える。

何度も、何度でも。

 

僕が集めていたのは、自分がもう戻れなくなる時間だった。

灯りが少しずつ暗くなっていくように、僕らの残火も、そう長くは続かない。

だからせめて、まだ光っているあいだに、その明滅を眺めていたいと思った。」

 

 

▪️中野 道(なかの・みち)

 写真家、映像監督、音楽家。アメリカ・ノースカロライナ州生まれ、長野県松本市育ち。現在は東京とニューヨークを拠点に活動する。

上智大学大学院文学研究科修士課程修了後、2015年より写真と映像を中心に制作活動を開始。個人的な記憶や時間、身体、喪失を起点に、社会や価値観を形づくる構造への批判と、その中で生きることの受容を主題として、写真、映像、音楽を横断しながら作品を発表している。

2020年に「全一性」をテーマとした写真集『あかつき』、2023年に写真集『Days in Between』を刊行。

 

音楽活動では、バンド Modern Jazz Warのフロントマンとして、国内外で活動している。

1